立春朝搾りが大変好評と、お世話になった第一酒造 開華さんの限定酒「プレミアム遠心分離 にごり」のご紹介。
まずは簡単なスペック。
造り | 純米吟醸、無濾過、生原酒 |
原料米 | 美山錦、五百万石 |
精米歩合 | 53% |
日本酒度 | -2 |
酸度 | 1.6 |
容量 | 720mlのみ |
価格(8%税込み) | 2,160円 |
内容としては開華の最も得意とする美山錦と五百万石を53%まで磨いた純米吟醸の生原酒。立春朝搾りともだいたい同じ構成ですが、その中でも1番いい部分だけを遠心力を利用して清酒に分離。その後、下にたまった澱の部分を集めて商品化したものになります。
720mlのお酒の中ではちょっとお高いですが、製法がわかればむしろお安い。とっても貴重でしかも美味しいこれまでにないにごり酒です。
遠心力を利用してお酒を搾る方法
改めて遠心分離とはどういうことかというと、醪を清酒と酒粕に分ける上槽の工程で「遠心力を利用した機械で搾って造ったお酒」というものです。
こちらがその機械。写真だけだと大きいのか小さいのか、凄いものなのか理解しづらいと思います。酒造りの規模からするととても小さく生産量は非効率的なほど。そして全国でも極々一部の酒蔵しかもっていない凄い機械なのです。
この遠心分離システムは平成17年に初めて登場しました。日本酒造りの歴史から見てまだまだ最先端の機械です。
山口県の獺祭さんがいち早く取り入れ世間にも知られるようになりました。というかそれ以前は私は知りませんでした。
遠心分離システムのメリットはズバリ「香りと舌触り」だと思うのですが、デメリットとして、機械が大変高価(約2000万とか・・)、時間がかかる上1度にお酒を搾れる量が大変少ないとかなり致命的な部分も多く、それほど規模の大きくない第一酒造のような蔵ですら通常のラインでは全く使えない代物。
更に、搾った後の清酒にあたる部分にもかなり澱がまじるようですし、一般的な上槽機械のヤブタと比べて粕の量がかなり多く残るそうです。だから通常は遠心分離で搾った残りをもう1度ヤブタを通してしっかり酒粕と分ける作業が必要になるようです。
遠心分離で搾ったにごり酒が凄いわけ
「このお酒は凄いな」と思ったのは、生のにごり酒なのに一切ガスがないんです。
普通は生のにごり酒って酵母が入るので、時間を置くとその酵母が活動をしてどんどんガスが溜まるのですがそれがない。開華の社長さんの話では瓶詰めしたお酒を生のまま数日間、30度くらいある麹室に放置した後に開栓してみたそうですがシュッという音も出なかったそうです。
しかも、にごりの成分である澱も遠心分離で残るような細かな粒子なので普通のにごり酒とは舌触りとか全く違います。とにかく滑らか。
普通の遠心分離でも十分レアですが、より手間のかかる貴重な遠心分離のにごり。本数も少ないので是非この機会に。