
「五橋 純米酒 150周年記念酒」です。
名前を聞いただけで凄そうですよね。
記念酒、なんて聞くと豪華絢爛なスペックで手が届かないんじゃないか、って思うかもしれません。
わかります。
でも、コンセプトからして実は全然違うお酒です。
目指したものは創業当時の明治4年に思いを馳せた日本酒。
使用する酵母は「サッカロマイセス・サケ」。
(矢部規矩治(きくじ)博士が1895年に分離した酵母で、きょうかい1号酵母よりも古いまさしく現存する最古の清酒酵母)
お米は麹に山田錦、掛米にイセヒカリ。精米歩合は80%といわゆるあまり磨いていない低精白なスタイル。
そして今では珍しい木桶を用いて、造りは生酛(きもと)。伝統的な道具と製法による伝統的な酒造りです。
厳密に言えば酵母も五橋が創業した明治4年(1871年)より後に分離されたものですし、単純に当時の日本酒というわけではなく、ラベルにもありますが「先人たちが紡いできた150年という時に想いを馳せ大切に醸した」という言葉がしっくりきます。
で、実際に開封してみるとお米らしい芳醇な香りがふわっと立ちました。
生もとらしい乳酸由来の旨味のあるお酒で、飲み込んだ後にワンテンポ遅れてじわっと軽い苦味が感じられます。
そういえば日本酒ってこんな香りと味だったなぁとなんとなく懐かしくなりました。
昔のお酒というとあまり良くないイメージをされる方もいるかもしれませんが、臭いというわけでもないですし薄っ辛くて物足りないというわけでもありません。
最近は生もとや山廃のお酒でも、だいぶスッキリとしてフルーティなものが増えた印象がありますが、フルーティとは真逆のタイプですので基本的には食中酒向きです。
そして飲み終わってからこそ良さが見えてくるでしょう。
飲み方は冷や(常温)がいいと思いますが、今日のような残暑が厳しい日は軽く冷やしたほうがやっぱりおいしく感じられるでしょう。
もう少し寒くなってくるとぬる燗もいいですね。
私の場合ですが、このタイプの日本酒を飲むと真っ先に食べたくなるのが大根の煮物。
軽い苦味がよく合うんですよ。
もう少し寒くなってくるとド定番ですがおでんとか、ぶり大根とか。
煮物系は合わせやすいかなと思います。
さて、容量と価格ですが、箱付き720mlのみで税込み1,500円となります。
レトロなラベルもいいですね。
書き始めた時、価格を先に書こうかと思いましたが価格がウリというお酒でもありませんし結局最後に載せました。
是非ご賞味ください。
ちなみに、五橋の限定酒は今月後半にももう一種類入荷予定ですのでお楽しみに。